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横浜地方裁判所 昭和43年(わ)939号 判決

主文

被告人を禁錮六月に処する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人は、横浜市保土ケ谷区四季美台柏木表具店こと柏木みち子方に勤務し、自動車運転の業務に従事するものであるところ、昭和四二年九月七日午前八時〇分ころ、右柏木所有の軽四輪自動車六横浜な六〇五九号を運転し、横浜市保土ケ谷区本宿町一五番地先道路で、本宿小学校方面に向かい道路左側にいつたん停止したのち、四季美台方面へ向かい転回しようとしたが、このような場合、自動車運転者としては、あらかじめ転回の合図をし、右後方からの交通の安全を確認したうえ転回すべき業務上の注意義務があるのに、不注意にもこれを怠り、転回の合図をせず、かつ右後方からの交通の安全を十分確認しないで漫然発進し右に転把進行したため、おりから右後方から本宿小学校方面に向かい進行してきた田中義彦運転の普通貨物自動車に自車の右前バツクミラーを衝突させて、同車を右前方に暴走させたうえ、道路右側を同一方向に向かい歩行中の柴崎友一(当時七二年)に衝突させ、同人を路上に転倒させ、よつて、同人を同日午前一〇時二七分、横浜市神奈川区富家町五五番地神奈川県済生会病院で、頭蓋骨々折に伴う脳挫傷により、死亡するに致らしめたものである。

(証拠の標目)(省略)

(法令の適用)

被告人の判示所為は、行為時では昭和四三年法律第六一号による改正前の刑法第二一一条前段罰金等臨時措置法第三条第一項第一号に、裁判時では同改正後の刑法第二一一条前段罰金等臨時措置法第三条第一項第一号に各該当し、犯罪後の法律により刑の変更があつた場合に当るから、刑法第六条第一〇条により軽い行為時法に従い処断すべく、所定刑中、禁錮刑を選択し、その刑期範囲内で、被告人を禁錮六月に処し、訴訟費用は、刑事訴訟法第一八一条第一項但書を適用して、これを被告人に負担させないこととする。

そこで、主文のとおり判決する。

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